薬学部、というと、どんなイメージがあるでしょうか。
「薬ばっかり触ってそう」
「ネズミで実験とかしてる」
「フラスコとか振ってるイメージ」
「白衣の人がいっぱいいそう」
どれも、科目でいうと理科の印象があるかと思います。
もちろん、薬学のメインは理科です。
薬学とは「生物・化学、そしてその応用の医学をミックスした学問」です。
そんな薬学部に入るのに、大体の入試では英語の科目が必要です。
正直、なんで?って思ったことはありませんか?
「英語なんか大学に入ったら使わないじゃん」
「理系って、大学入ったら英語関係なさそう」
という声も、ちらほら聞いたことがあります。
今回は、薬学部に入ってからも英語が必要かについてお話します。
薬学部でも英語は必要
薬学生が苦しむ勉強は2つ
6年制薬学部に入る人の多くは、薬剤師免許を取ることを目標としています。
そりゃそうです。当たり前ですね。
薬剤師免許を取るためには、薬剤師国家試験に合格しなければいけません。
というわけで、勉強のメインはこの国家試験に向けたものになります。
そんなメインの勉強のかたわら、地味に薬学生を苦しめる勉強があります。
もうわかりますよね。
そう、英語です。
どこで英語が必要なのか
はっきり言うと、薬剤師国家試験で英語が必要になる場面なんてほとんどありません。
カタカナ語の意味がすぐわかる、くらいのメリットしかありません。
英語が必要なのは、それ以外の場面です。
①論文
②就活
これらの場面で、英語力が試されることになります。
少し深く掘り下げてみましょう。
論文で必要な英語
薬学部に限らず、理系ならどこでも大体そうですが、研究を進める上では論文を読むことは避けて通れません。
そして世の中にある論文のほとんどは、英語です。
3年や4年になって研究室に配属されると、「論文紹介」といってなにかしらの論文の内容を研究室のメンバーに解説する場面も出てきます。
何か気になることがあったら、それは教科書に載っていないので、自分で論文を探して読み解くことになります。
「うわぁ…」
と思った人も多いかもしれませんが、安心してもらって大丈夫です。
学術英語は試験に出されたりするわけではないので、辞書を使って調べながら読めれば十分です。
つまり、最低限の高校英語の文法知識があれば十分です。
書ける必要も、ましてや正しく発音して話せる必要もありません。
(大学院に進学して、海外の学会で発表するようになると、話は別です)
余談ですが、情報系の大学生は、自分で勝手に
「論文をコピペして⇒Google翻訳にぶちこみ⇒翻訳結果の日本語を出力する」というプログラムを組んでいたりします。
技術の正しい使い道ですね。
Google翻訳の精度も上がっていますし、その日本語を片手に英語の論文を読めば、余裕で内容は理解できるそうです。
就活で英語力が必要
薬学生の就活は、かなり多彩です。
薬剤師として働くにしても、薬局、病院、検疫所などの公務員、麻薬取締官などがあります。
製薬企業だけで考えても、研究職、MR(営業のようなイメージ)、企業戦略職、品質保証職…と様々です。
これらのどの道に進むかによって大きく変わりますが、中には英語力が問われるものがあります。
例えば、武田薬品工業という製薬会社にエントリーシート(履歴書)を出すには、TOEICテストで最低730点が必要です。
(730点以下は門前払い)
このように明言していなかったとしても、多くの製薬企業はグローバルに活躍するので、英語力はあって当たり前のもので、無かったら話になりません。
私もTOEIC925点まで上げてから就活に臨みました。
製薬企業以外でも、病院薬剤師のレジデント(見習い)の試験には英語試験があったりします。
病院で??と思うかもしれませんが、病院の薬剤師は最新の医療について学ぶ必要があるので、やはり論文などを読む必要があるようです。
その他の英語が必要な場面
①論文と②就活が、英語が必要な主な場面です。
もちろんそれ以外にも、大学生活の選択によっては英語が必要です。
例えば留学を考えているのであれば当然英語が必要です。
研究室によっては留学生がいるので、コミュニケーションが英語になることもあります。
大学院の進学を考えていたら、多くの場合は英語試験(もしくはTOEIC)を受ける必要があります。
このように、様々な場面で英語は必要なのです。
薬学部生の英語の勉強法
TOEICの点を上げることを目標に
薬学部での英語の必要性はわかっていただけたでしょうか。
論文はさておき、就活については地道に英語力を磨いておきたいところです。
ところで英語の勉強と言っても、日常英語、学術英語、試験英語ではやるべきことが全く異なります。
漠然と英語に手を出してしまうと、このどれも中途半端になってしまうことも多いです。
どれからやるべきか悩むのであれば、まずはこの中でも成果がわかりやすく、後々必要な試験英語から手を出すのがいいと思います。
まずはTOEICを受ける
「受験勉強しかしたことないから、何から始めていいのかわからない」
そんな方は、とりあえず一度TOEICを受けてみることをおススメします。
勉強は、何か節目がないとなかなか始められないものです。
まずは自分の現状をしっかりと理解するところからスタートすると良いでしょう。
勉強方法も、受験勉強と大差がありません。
(それが嫌だ、という人もいるかもしれませんが)
興味があるものをやるのが一番
もちろん、興味があるものがあれば、それからやるのが一番です。
私が大阪大学を再受験して、最初に買ったのは「Harry Potter」の英語版でした。
通学電車の往復2時間強を、だらだらと携帯をいじるのではなく英語に触れているだけでも、大きな経験値になりました。
会話をやりたいなら会話英語、点を取りたいなら試験英語、とにかく脇目も振らず取り掛かれるものがベストです。
英語に触れる機会を自ら増やす
「英語を勉強しよう」と思うには、実際に英語が必要な環境に身を置くのが一番はやいです。
留学生と交流を持つでもいいですし、外国の人が多くいるバーなんかに顔を出すのもアリです。
とにかく毎回のTOEICを受験する、でもいいです。(年8回)
触れてみて、危機感を感じる。これがベストです。
モチベーションとは、
理想を定義し、
現状を把握し、
そのギャップを理解したときに生まれるといわれています。
まずはTOEICを受けて、(現状の把握)
目標点を決め、(理想の定義)
それを埋めるのに何が必要か考えてみましょう。
おわりに
薬学部において、英語は思っているよりも大きいウェイトを占めています。
特に、高校時代に英語が嫌いだったなら、苦痛になるかもしれません。
だからこそ、あまりギリギリまで放置せずに、英語に取り組んでみてください。
英語の勉強が嫌いなだけで、ひょっとすると会話なら楽しい、と思うかもしれませんよ。
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