薬学部入学の前に。高校生物で最低限コレだけは勉強しておきたいこと。

大学について

この記事は、薬学部に合格したか、薬学部を目指している方向けです。

 

私立の薬学部の多くは、英語と化学(と数学)で受験している人が多いでしょう。

なので、物理選択の高校生でも、薬学部を受験することが多いです。

 

そこでよく生徒に質問されるのが、

「生物ってやっておいた方がいい?」

 

結論から先に言うと、「絶対にやっておいた方がいい」です。

今回は、薬学部入学前に最低限やっておきたい高校生物の内容について解説します。

 

薬学部で必要な生物

国家試験の何割が生物?

薬学部に入るからには、最終的には薬剤師国家試験に合格するのが目標となるでしょう。

 

ここで、薬剤師国家試験の内容を簡単に紹介しておきます。

 

薬剤師国家試験は、9科目全345問の試験です。

9科目とは、「物理」、「化学」、「生物」、「衛生」、「薬理」、「薬剤」、「病態・薬物治療」、「法規・制度・倫理」、「実務」のことです。

そのうち黒太字にしたもの3つが、生物に深く関わる内容ですね。

 

345点のうち100点を占めているので、薬学のうち3割は生物だと言えます。

 

ちなみに残念ながら、高校物理が深く関わる内容は、物理と化学の一部だけ…40点分にも満たない割合です。

高校生物との差、すごいですね。

高校時代では生物選択は不遇だったかもしれませんが、大学に入るといきなり立場が逆転です。

 

 

薬学のメインは、高校生物の延長線上

試験の割合からわかるように、薬学とは生物の延長線上にあります。

 

薬学部で学ぶ内容は、ざっくばらんに分けると、

①正常なヒトの身体の仕組み(生物)

②病気で起こっていること(病態)

③薬はどうやって、どんな作用を示すのか(薬理)

④病気に対して、何の薬を使えるか(薬物治療)

といったことがメインです。

 

なので、①の生物が分からないと、②〜④が全てあやふやな理解になってしまいます。

 

丸暗記する、という方法もありますが、オススメしません。

科目ごとに1000ページくらいある分厚い本(辞書のようなイメージ)があって、それが合計9冊ありますから、丸暗記するのは不可能だからです。

 

なんだかオドシのようになってしまいましたが、何にせよ生物は必要だということです。

 

授業で置いてけぼりにされないために

大学の先生たちは、高校の指導要領についてあんまり理解していません。

(入試問題を作っている人なら話は別ですが)

 

なので、何を習っていて、何を習っていないのか、あんまり考えて授業をしていないことがあります。

中には、使っているのは専門用語なのに、何の説明もなく進んでしまうこともあります。

 

薬学部での授業で置いていかれないように、ヒトの身体に関することは少しでも勉強しておきたいものです。

 

薬学部で最低限必要な高校生物

ヒトに関係しないものは無視

当たり前ですが、まず勉強すべき内容は、ヒトの身体に関することです。

 

高校生物では、爬虫類の発生だったり植物のホルモンだったり、ヒトと全然関係ないことが沢山あります。

そういった関係ないものは、無視してください。

 

ホルモン

まずは、「体内の恒常性」についての単元をマスターしておきましょう。

 

具体的には、ホルモンについて理解しておくことをオススメします。

何のホルモンが、

どこから分泌されて、

どこで、何をするのか

を覚えておくと、国家試験でもとても有利になります。

 

特に、血糖値に関するホルモンは必須です。

 

神経のつくり

神経細胞(ニューロン)の仕組み、神経伝達物質については、薬学でもトップレベルに必要な内容です。

なので、「伝導と伝達」の仕組みについては押さえておきたいですね。

 

交感神経、副交感神経のはたらきの違いも、確認しておきたいところです。

余力があれば、神経伝達物質も勉強したいところ。

 

ヒトの免疫

最後に押さえておきたい内容としては、免疫に関する内容があります。

特に、獲得免疫に関する理解は必須です。

 

T細胞って何?
B細胞は?
ヘルパーT細胞の役割は?

 

という質問に答えられるだけでも、世界が変わります。

 

ヒトの免疫については、「はたらく細胞」という漫画がメチャクチャおススメです。

アニメ化して、血小板ちゃん、好中球さんが流行ったアレですね。

 

実は結構ちゃんとした内容になっているので、免疫を勉強する入門として役に立ちます。

 

オススメの書籍

薬学部に入る前に、高校生物を自分で勉強するのは大変です。

ですから、基本的には本に頼ることになると思います。

 

ハズレの本を引くと、永遠に生物が嫌いになってしまうかもしれないので、最初の本選びは割と重要です。

 

はたらく細胞(マンガ)

先ほども紹介しましたが、科学系のマンガは侮れません。

私は三国志もマンガで覚えたタイプですが、マンガで登場したものは自然に覚えられるので気楽です。

 

特にはたらく細胞はアニメ化されているので、かなり頭に入ってくるはずです。

(アニメ見たことある人、好中球さんが何してるか、もう覚えてますよね?)

 

はたらく細胞は、ちゃんと登場する免疫細胞たちのはたらきが説明されているので、掴みとしては完璧だと思います。

 

欠点は、免疫のことしか勉強出来ないこと、くらい…。

 

 

視覚でとらえるフォトサイエンス

次は高校生物の定番、図表ですね。

 

高校生物の図表は、いくつか見比べましたが、『視覚でとらえるフォトサイエンス』がダントツに分かりやすいです。

塾で生物を担当した生徒には、全員この本を勧めています。

 

ちなみに、教科書はめちゃくちゃオモンナイので、ダメです

 

やる気が出ないと意味がないので。

「勉強しよう!」と思うよりは、「ふーん、こんなのあるんだ」くらいの気持ちで、好きなところから好奇心が赴くままに読んでみてください。

 

特に高校で物理選択だったり、受験で生物を使わなかった人にオススメです。

大学の教科書は4000円とか8000円とかするのが普通ですが、高校の学習参考書は非常に安いので。

 

 

世界一やさしい!○○図鑑シリーズ

ほかには、「世界一やさしい!◯◯図鑑」シリーズを軽い読み物として読んでおくと、スムーズに頭に入ってくると思います。

たまに無茶な擬人化がありますが、まぁ嘘は書いていないので。

 

 

もう少しガッツリやりたい方向けの教材(追記)

コメントで要望がありましたので、もっとガッツリ勉強したい方向けの教材を紹介します。

大学内容までしっかりと書かれている教材は少し高価なので、おそらく大学でも使うであろう教材から。

 

Essential 細胞生物学

細胞の中で起こっていることを理解するには、『Essential 細胞生物学』がオススメです。

生物系の大学生の多くが所有していると思います。

 

臓器や器官といった大きな単位での話はほぼ登場せず、とにかく「どうやって細胞は生きているのか」について書かれています。

知的好奇心旺盛な方で、ミクロな話が嫌いでない人にはぜひ。

あと、大学の教材の大きさにビビらないでください。

 

薬がみえる

もっとマクロな感じでかつ、ちゃんと薬学に繋がるように勉強するのであれば、『薬がみえる』シリーズがおススメです。

 

一番読みやすくて取っつきやすいと思います。

多くの薬学生が補助教材として購入していて、評価も上々です。

Essentialの半額程度で買えるのも人気の秘訣でしょうか。

 

全3冊で、量と質の割には凝縮されているように感じます。

似たシリーズに『病気がみえる』がありますが、数が多すぎるのでちょっとオススメしません。(全11冊)

 

高校で生物をやっていないなら、特にVol.2が良い範囲かなと思います。

内分泌系の内容などが集中していて、高校で習う範囲とオーバーラップが多いためです。

 

 

まとめ

薬学部では、高校生物の延長線上の内容をたくさん学びます。

また国家試験以外にも、進級試験などたくさんの関門を突破する必要があります。

 

大学生活が楽になるかどうかは、「ほんの少しの準備」が明暗を分けます。

 

暇な時間の活用に、参考にしてみてください。

 

 

興味があれば、私の個人ブログも覗いてみてください。

ちょっと内容が難しいですが、国家試験対策のことなどを書いています。

コメント

  1. 暇人 より:

    物理選択で今年薬学部に合格した者です。
    図録等を挙げておられますが、少々小難しい内容も見てみたいと思いますので、がっつり書いてある本のおすすめはございますでしょうか?
    名前の通り急に勉強の圧から解放されて、暇を持て余してるので…

    • PEN より:

      コメントありがとうございます。

      ガッツリ書いている本となると少し高価になってしまいますが、『エッセンシャル細胞生物学』や『薬がみえる』などが良いかなと感じます。

      詳しくは記事に追記させて頂きましたので、ぜひご覧ください。

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